令和5年度終了課題

東京大学

原子力施設の廃止措置を統括するグローバル人材の育成

事業の背景

我が国では、原子力発電所だけでなく核燃料取扱施設、再処理施設などの多くの原子力施設の廃止措置が行われようとしています。しかしながら実績という点では欧米には及びません。例えば、米国のザイオン原子力発電所やフランスのマルクール研究所の再処理工場などで既に廃止措置が完了しています。技術的な側面だけなく、戦略的な側面、すなわち、廃止措置に係る工学分野だけでなく社会科学分野についても今後多くのことを欧米から吸収していかねばなりません。このために、工学分野と社会科学分野の両面で、自分たちの抱える課題を整理し、欧米の技術者との議論を通して良好事例を学び、それを国内の廃止措置に反映させていくスキルが不可欠です。このような人材の育成に対して社会からの強い要請がありますが、これまで十分になされていません。

事業の目的

原子力施設の廃止措置は、30から40年にわたる長期のプロジェクトです。このような長期間を通して要求される安全性及び事業の品質を維持していくためには、廃止措置の対象となる施設の「特徴」、廃止措置を取り巻く「環境」及び投入可能な「リソース」に対する俯瞰的な分析に基づき策定された戦略が不可欠です。さらに、これらの3項目の分析結果は廃止措置の期間を通して変化していくものであり、戦略には要求される安全性及び事業の品質を維持するための施策も、このような変化に適合させていく配慮がなされていなければなりません。長期にわたる廃止措置のプロジェクト管理を確実にし、目標とする状態を達成し、廃止措置を完遂するためには、戦略的観点を持ってこれに取り組むことのできる人材が不可欠です。このような人材及び構築する戦略は法令の要求する廃止措置の計画と相まって、プロジェクトとしての廃止措置の必要十分条件を満すことになります。
原子力施設の廃止措置では、戦略的な観点を持って原子力施設の廃止措置を推進していくスキルを持つ人材、すなわち、廃止措置に係る技術的な側面に加え、原子力利用におけるバックエンド分野(廃止措置と廃棄物の処理処分)の社会における重要性及びそれが与える社会的影響を理解している者であり、海外の良好事例を積極的に取り入れ、効果的かつ効率的な廃止措置推進を可能とする人材の育成を、講義及び実習並びに現地視察を実施することを通して、人材育成プログラムを構築することを目的としました。

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